タンゴ セラピー

 タンゴ・セラピーとは、音楽による癒しと、ダンスを踊る事によるリハビリという、2つのセラピー効果による療法です。


アルゼンチンタンゴの音楽を聴く事により、精神的安定、安らぎをもたらす音楽セラピーとしての効果があるという事は電気通信大学や、東邦大学医学部の臨床試験により学術的に証明されています。


 タンゴダンスを踊る事が、色々な精神的疾患に効果をもたらす事は「ロイター通信」の記事が伝えています。



  特に1950年代以前の音楽を聴き続ける事による癒しは、精神的安定をもたらし、リハビリとしてのタンゴダンスは社交ダンスのような無理な動きがなく、散歩をするような感覚で、自然にダンスが踊れます。


外への散歩は、道のデコボコにつまずいて転倒したり、自転車や歩行者にぶつかられたり、夏は熱中症、冬は寒さに耐える事なく、室内で快適な環境の中で散歩をする感覚でダンスをおどれます。

  精神的不安や悩みを感じている方。杖や車椅子でないと遠くへ行かれない人の足の筋力鍛錬に。怪我をして医者からは完全に治っていると言われているのに、足を引きずってしまう人の訓練に。脳梗塞等で麻痺した手足のリハビリに。



  つまり物理的病気ではなく、脳の錯覚、誤作動による精神的未病に「アルゼンチンタンゴ・セラピー」は役に立つと
思います。





 
      ロイター通信とは
  
       9月1日14時59分 ロイター通信配信

      ブエノスアイレス8月31日ロイター発信

    アルゼンチンタンゴを踊る事の効用について

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレス最大の精神科病院で、哀愁のあるアコーディオンの旋律に合わせ患者が医師や看護師とタンゴを踊っている。
 イタリアやオーストラリア等、アルゼンチンから遠く離れた国々でも、様々な治療にタンゴを利用する「タンゴ・セラピー」が広がっている。

  ワシントン大学メディカルスクールの研究では、パーキンソン病の患者がタンゴを習う事で、身体のバランスを取りにくくなる症状が改善された事が判った。
  イギリスではタンゴの複雑なステップが、アルツハイマー型認知症患者の記憶力向上に使われている。
  又イタリアでは、身体を密着させ、後ろに移動する動きにパートナーへの信頼が必要になるとして、夫婦間のカウンセリングに用いられている。

  ウェールズに拠点を置くタンゴセラピーの国際団体で代表を務めるマルティン・ソテラーノ氏は「タンゴの利点は、患者によって踊りのスタイルを変えられる事だ」と説明。夫婦のカウンセリングではコミュニケーションを重視し、アルツハイマー型認知症の治療では基本の8つのステップに重点を置き、パーキンソン病の患者には洗練されたしっかりとした動きを練習する事が役に立つと話した。
以上






                 タンゴとオキシトシンの関係

    「幸せホルモン」「抱擁ホルモン」とも呼ばれる「オキシトシン」への注目が、今急速に高まっています。
   「飼い主と犬が触れ合う事で、互いにオキシトシンが分泌される」という、筑波大学の研究チームによる論文が、アメリカ『サイエンス』誌に掲載され、このニュースは新聞でも一斉に報道され、「オキシトシン」という言葉は広く流布しました。

   
オキシトシンは哺乳類だけが持っているホルモンで最近このホルモンが脳に働くと、相手への愛情や信頼感を生む効果がある事が判りました。

   オキシトシンは「触れ合い」「スキンシップ」で分泌され、親が子の頭を撫で上げたり、恋人同士のスキンシップ、ペットを撫でる等の触れ合いにより分泌され、人を信頼して幸せな気分にするのです。

  スキンシップの中でも「抱っこ」と「おんぶ」の両方の重要性も説明、特に母子の代表的なスキンシップである「抱っこ」は子供と密接したコミュニケーションが取れる事で、子供は自分が受け入れられ大切にされていると感じられ、情緒を安定させる効果があるという。

   
  人と人との肉体的な接触や、簡単なボディータッチでも分泌されるという「オキシトシン」。 タンゴを踊る事とどんな関係があるのでしょうか?
 

  
伝説のタンゴ・ダンサー「カルロス・ガビート」はこう言っています。
  「タンゴを踊る時に一番大切な事は、音楽を良く聴きながら、二人があたかも一人であるかのように、二つの心が一つになって踊っていく事なのだ。
   心の中にある孤独を踊るのがタンゴだ。心の空洞をこの踊りで埋め尽くすのだ。そして「アブラッソ」がタンゴの中で一番大切なのだ。
 
  タンゴは過去の悲しみや人生の哀歓を唄っている。つまり過去を背負っている。人生を背負っている。タンゴは追憶で出来ている。その心の奥深い感情や情感を踊りで表現するのがタンゴダンスというものだ。
  
  タンゴは「抱擁」で始まり「抱擁」で終わる。「アブラッソ(抱擁)」それが最も大切なのである」

  いかがですか?タンゴダンスはやっぱり「オキシトシン」出まくりの踊りではありませんか。タンゴセラピーも知ってか知らずの内に使っているのだろうと思います。


  リハビリは楽しくやらなければ意味がない

  脊椎損傷や脳梗塞の患者のリハビリテーションでは、意欲を高く持つと快復効果が高い事が、これまで臨床の現場で経験的に知られていました。
  それとは逆に脳卒中や脊髄損傷後に鬱症状を発症するとリハビリテーションに支障が出て、運動機能回復を遅らせるという事も知られています。
  しかし、実際に脳科学的に、やる気や頑張りといった心の状態が、運動機能回復にどのように結びついているかは解明されていませんでした。

 今回、自然科学研究機構・生理学研究所の西村幸夫準教授と京都大学大学院医学研究科大学院生(当時)の澤田真寛氏(現・滋賀県立成人病センター脳神経外科)、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センターの尾上浩隆グループディレクターの共同研究チームは、脊椎損傷後の猿の運動機能回復の早期において「やる気」や「頑張り」を司る脳の領域である「側座核」が、運動機能を司る「大脳皮質運動野」の活動を活性化し、運動機能の回復を支える事を脳科学的に明らかにしました。
  この研究結果から、「やる気」や「頑張り」を司る「側座核」の働きを活発にする事によって、脊髄損傷患者のリハビリテーションによる運動機能回復を効果的に進める事が出来るものと考えられます。

 
本研究成果は、米国科学誌「サイエンス誌」に掲載されます。

  西村準教授は「今回の実験結果から、リハビリテーションにおいては、運動機能回復をさせる事ばかりが重要なのではなく、「やる気」や「頑張り」を支える「側座核」の働きが大切である事が解ります」と話しています。
  実際、運動機能回復のリハビリテーションにおいて、鬱症状は運動機能回復の妨げになっていました。
  脳科学や心理学などに基づく心理的サポートが重要で、精神状態を良くする事が運動機能回復に繋がる事を示しています。

  アルゼンチンタンゴを踊る事が、色々な症状のリハビリテーションに使われている事を書いて来ましたが、まだ新しい分野で、仲々実証が出来ませんでしたが、脳科学や神経科学の著しい発展で、少しづつ証明されて来ています。
   楽しく踊る事で「やる気」を引き出し、「頑張ろう」という気持ちにさせる。踊りを踊っているうちに、それがリハビリテーションに繋がっています。


 
  ニューロリハビリテーションとは何か

  
近年、中枢神経系の画像診断技術(ニューロイメージング)が大きく発展して来た。それらにはMRI(核磁気共鳴装置),FMRI(機能的核磁気共鳴装置)、MEG(脳磁図)、TMS(経頭蓋磁気刺激法)PET(ポジトロン断層撮影)、近赤線分光法を応用した光イメージング装置などが挙げられる。
  
  これらをバックグラウンドに、神経科学と連携した「ニューロリハビリテーション」(神経リハビリ)という新しいジャンルが切り開かれつつある。
  それは損傷後の神経機能回復の促進を目的にしたリハビリテーションである。

   大脳生理学者の久保田競氏は自著の中で、脳梗塞後のリハビリによって脳に新しい神経回路が出来る事が明らかになり「リハビリテーション医学に革命が起こっている」と記している。それは1996年に米国カンザス大学医学センターのランドルフ・J・ヌード博士による「リスざるによる実験による実証を指している。これは脳の運動メカニズムが、麻痺した筋肉を動かす事で治療になる事を可能にする事を実証した。
  
  ニューロリハビリテーションの世界が新たな局面を迎える事になった。今後10年の間に、セラピストは今までのような経験主義の治療をする訳にはいかず、脳の可塑性の原理に裏付けされた新しいテクニックを発展させる必要がある。

   松島靖之・蜂須賀研二(産業医大リハビリ科)氏らは、脳卒中後のニューロリハビリテーションの意義を次ぎのように並べている(「分子脳血管病」2005年VO1・特集ニューロリハビリテーション)より、
  「脳卒中後の中枢神経の回復過程において、脳の可塑性や神経ネットワークの再構築が起きる事が、近年の「脳イメージング」研究で確認された。
  ニューロリハビリテーションの意義は脳の神経ネットワークの再構築を促進させる事である。そのような目的で行われる新しいアプローチとして、脳卒中後の運動麻痺に対して、麻痺側の上下肢を強制的あるいは積極的に使用する訓練法が注目されている。
  
   ニューロリハビリテーションとは、損傷後の神経機能回復を目的にしたリハビリテーションである。
   これで、今まで体験的に行われていた「タンゴセラピー」が学術的に実証されました。左・右の手足を同じように使うタンゴダンスは、自然と左・右を同等に使うので、無意識に損傷側の手足を使う事になるので、正にニューロリハビリテーションと同じ事をやっている訳です。
    





[アルゼンチンタンゴが癌治療後のバランス障害回復に効果]
    
 (オハイオ州立大学総合がんセンター)
  
  
がん治療に多い副作用に取り組む研究

   化学療法を受けた患者の最大70%にがん治療の副作用として、抹消神経障害が起きる。症状としては手、指、足と足の指に感覚の喪失が起き、化学療法から6ヶ月経った後も、患者の3人の内1人にこの障害が残る。


 
 研究者らは、足と足の指への長期的な神経障害は、患者のバランスや歩行に影響を与える為、特に問題であり、この障害によって、患者の日常生活による転倒のリスクが高まるとしている。


 「ますます多くの人ががんサバイバーとなる現実を考えて、これは大きな問題です。がん発症後の生活の質に影響を与える問題に取り組む事は、とても重要な事です。
 ダンサーとして運動の技術を、そして生体力学(バイオメカニクス)の研究者兼リハビリ科学者として、運動の数学と科学を研究する中、これらの研究を1つにまとめる事で、神経障害のあるがんサバイバーを救済出来ると考えました」
と、オハイオ州立大学の理学療法・リハビリテーション部門の教員であるWortjen Chaudhari氏は述べている。


  がんサバイバーの転倒リスクの生体力学的予測因子におけるアルゼンチンタンゴ練習の効果を評価する為に、Lise Worthen Chaudhari氏とLamantia氏は、20セッションから成るアルゼンチンタンゴのダンス介入コースを作った。患者は週2回1時間のセッションに10週間参加した


  研究者らは、床反力計測システムを使って、ダンス介入治療の開始時と10週間後の完了時で、患者が目を閉じて立った状態での姿勢の傾き度を測定した。患者には、介入治療の満足度も報告して貰った。


 「多くの患者から、理学療法は大変で辛いので、理学療法を続ける事は難しいと聞いています。一方今回の研究でアルゼンチンタンゴは、平衡感覚回復にかなりの効果がある事が判り、しかも参加した患者は、ダンス療法は本当に楽しかったと話してくれました。
ダンス療法は、患者に必要な理学療法を他の人と一緒に楽しく出来る方法であり、私達の初期データはアルゼンチンタンゴが平衡感覚回復に何らかのプラスの効果をもたらす事を示しています」
。こう話すLamantiaは、この研究の為に約30人のがんサバイバーにアルゼンチンタンゴを教えた。

  アルゼンチンタンゴ療法研究に参加した最初の3人の初期データは、2016年11月3日、イリノイ州シカゴで行われる2016年米国リハビリテーション医学会年次総会で発表される予定である。

  Lamantia氏は「アルゼンチンタンゴは、治療後にバランス障害を発症するがんサバイバーにとって将来有望な介入治療で、アルゼンチンタンゴを始めてから僅か5週間後に体の傾き度(左右と前後の揺れ)は56%改善されました」と述べている。

  本研究は、がんサバイバーがアルゼンチンタンゴのダンスベース介入治療に満足し、この介入治療が平衡感覚改善に有効であるかどうかを示す、最初の検証結果である。

  Lamantia氏は
「ダンスを教える立場として、私自身10週間のアルゼンチンタンゴのダンスコースを通して、それぞれの患者が計り知れない喜びを感じ、自身を持ち、運動の質が向上するのを目の当りにしました」とも付け加えた。 

 
 オハイオ州立大学総合がんセンターArthur G.James Cencer Hospital and Richard J.Solove Research Institote(OSUCCC-James)のがん研究に対して1億600万ドル以上を集めた、オハイオ州コロンバスのグラスツール(草の根運動)サイクリングイベントPelotoniaの資金提供を受けた。
  Pelotoniaフェローで医学進学過程及びダンス専攻のMimi Lamantia氏と、オハイオ州立大学Wexner Medical Centerの神経科学研究所で運動を研究している理学療法士Lise Worthen Chaudhari氏が共同研究を行った。


 



   ダンス ムーブメント療法(通称ダンス セラピーとは)

  身体の動きを通して精神的治療を行うものを指す。技法としてはダンスと身体動作(ムーブメント)が使われる。身体から身体へ、言葉を介さず相手に働きかけ、内省や対人関係の変容を目指すものとある。ある意味、セラピーよりカウンセラーに近いかも知れない。


   創始者の一人であるモダンダンサーのチェイスはサリバンの対人関係論に影響を受け「ダンスはコミュニケーションである」として「心と身体は相互に関連し合い、その統合されたものが個としての存在である。従って体を通してその心にアプローチできるし、また体を通して他者との交流も可能である」という考えに基づいている。

  
タンゴ セラピーとの違いは殆ど音楽を使わない事。セラピストと患者の身体接触を出来るだけ避ける(モダンダンスがセラピーの元になっている)。ダンス セラピーは統合失調症や心身症など心の病に。タンゴ セラピーは脳の誤作動から来る身体的疾患に効き目があると思います。